漫画家まどの一哉ブログ
「刑の重さは何で決まるのか」 高橋則夫
「刑の重さは何で決まるのか」
高橋則夫 著
(ちくまプリマー新書)
刑法学とはなにか?刑罰に対する考え方の基本を丁寧に解説。
署名通りの内容を即期待するが、その前にまず刑法の世界を順に繙かなければならない。これは用語的には当然専門的で素人読者が正確に覚えられるものではないが、読んでみると意外なことはなく、それはそうだろうなという感想。言わば教科書的な読後感がある。
やはり第4章の量刑論だ。重いか軽いかどれくらいの刑罰にするのか?我々読者にとって意外な根拠が、具体例と共に示されるだろうと期待する。しかしあたりまえだが、これまでの刑とのバランスが大事でそうそう突飛な判断がされるわけではない。意外性はなく内容は量刑が決まるまでの仕組みの解説が中心である。
終章でこれからの新しい刑法学の方向が示されるが、個人的には被害者感情が疎かにされていると常々感じるので、修復的司法というものによって応報感情が損害回復されるならばそれは良いと思う。しかし加害者・被害者(コミュニティ)による対話および会議などは、なかなか辛いものがあるのではないかと…。
PR