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「ダマセーノ・モンテイロの失われた首」

読書

「ダマセーノ・モンテイロの失われた首」 アントニオ・タブッキ 作

ポルトガルの地方都市が舞台。ある朝ジプシーたちが住む草原で首なし死体が発見された。大衆新聞の若手記者フィルミーノは、早速社命によって現地入りし取材活動を開始。犯人不明のまま手探りで取材を進めるうち、電話で匿名の情報を受ける。

殺されたダマセーノ・モンテイロは、仕事先で輸入している精密機器に麻薬が忍び込まされていることに気付き、これを密かに横取りして儲けようと企んだのだ。ところがこの麻薬密輸入は国家警備隊員によるものであり、秘密を知ったモンテイロは、哀れ拷問されて殺されてしまったのだった。

この官憲による犯罪をなんとか証明し、犯人の国家警備隊員たちに有罪の判決を下すため、記者フィルミーノは地元の老弁護士ドン・フェルナンドと手を組む。博覧強記の個性派弁護士フェルナンドは独特の哲学的な論証で国家警備隊員の犯罪を証拠立てようとするが…。

 

幻想文学の語り手として、タブッキはかつて自分も読んだことがあるが、この作品はかなり傾向の違うものだ。実際の事件をもとにして書かれた社会派小説とも言うべきものである。ミステリー仕立てで進むためわくわくとしながら読めるが、老弁護士ドン・フェルナンドの口を借りて社会哲学のようなものが縷々語られるところは、ミステリー一般とはほど遠いこの小説ならではの醍醐味である。一にも二にもこの小説の面白さは、難事件に立ち向かう若手記者フィルミーノの行動力、そしてフィルミーノに指示を出す老弁護士ドン・フェルナンドの頭脳と蘊蓄。このふたりのタッグにあった。それでもあくまでミステリーではなく社会派小説だからおもしろかったのだ。もっと読もうタブッキ。

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