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「タタール人の砂漠」 ブッツァーティ
読書
「タタール人の砂漠」 ブッツァーティ 作

若き将校ドローゴが赴任した国境北端の砦は既に古びていて、今や戦術上その存在意義はほとんどないとされる代物。当初早々と離脱しようとしていたドローゴだが、数ヶ月するうちその荒涼とした山間と、その先に広がる茫漠たる砂漠の風景に見入られ、在任を決めてしまう。日々正確にくり返される砦での任務。都会での楽しい青春を省みず、目の前に広がる砂漠のむこうからいつか敵がせめてくるかもしれないという期待のみを糧に、砦でのルーチンワークに身も心も捕われてゆく。

恐ろしいことに現代社会の労働にも同じようなことはあって、社会の歯車である会社勤めに人生の貴重な時間を集中し、自ら他の可能性と楽しみを見る目を閉じてしまう。もしかするとそれは流れに身を任せただけのラクな選択であり、過労死するまで目が覚めない。しかし大半の人生はそうやって過ぎ去っていく。

幻想文学といえばそうだが不思議な感じはなく、眼前に砂漠が広がる砦での勤務は不毛で無意味に近いが、だからといって虚無を描いているわけでもない。シュールな味わいはなく、いかにも現実の社会を思わせる。架空の砦を描いているが寓意小説と呼ばれるようなデフォルメされたところもない。しかし実にたのしい。

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