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漫画家まどの一哉ブログ

   
手塚治虫雑感4
「地球を呑む
1968〜1969年作品

壮大なスケールで描く近未来超大作とかいう部類のものは、リアリティにおいて許せるか許せないかのギリギリのところがあって、SF的設定を含むとより危険だ。この作品は近未来ではないが、手塚治虫が得意とするその手のハナシ。
誰にでも簡単に変装できる「人工皮膚デルモイド」により犯罪が多発して防ぎ得なくなる。という設定はいろんな事件が起こりそうで愉快。だがこの話では、人工皮膚が全世界に氾濫して手が付けられなくなる。加えて無尽蔵にまき散らされる金塊により、金の価値が暴落。世界経済が破綻して文明が衰退し、産業革命以前の状態にまで戻るというのは、なんぼなんでもそりゃないやろ。という気がする。

この文明破壊計画を密かに遂行するのが、「ゼフィルス」という絶世の人工皮膚美人たちで、それも母親の復讐のためなのだが、この女は魅力的。おそろしくエロティックで、あらゆる男をたらし込むのも魅力的。そんな女が、関五本松という大酒飲みの主人公のみに心を奪われてしまうところが、いちばん面白い。
結局大スケールのパニック劇でも、男と女の話があればこそで、作者もそこを描いてるのが気持ちいいんじゃないかな?

荒唐無稽な設定でも、手塚治虫の昔ながらの表現だと「マンガだから別にいいか」と思えてしまう。これはリアリズムとは逆方向の成立の仕方だが、現代漫画も多くはこの「マンガだから別にいいか」を追いかけているのだと思う。その快感を得るために表現が発達してきた。現実の束縛を忘れられる気楽さや痛快感を得た上で、感動を得るために。

それをしなかった人が、つげ義春。(どこかにつづく)

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