漫画家まどの一哉ブログ
「雪の練習生」 多和田葉子
読書
「雪の練習生」 多和田葉子 作
「雪の練習生」 多和田葉子 作
しろくま三代記。しろくま(ホッキョククマ)といっても人間と同様に暮らし、初代のクマはライターであり、サーカス時代からの自伝を書いてベストセラー作家となる。編集長はセイウチである。ソビエトから西ドイツへ亡命し、憧れのカナダ暮らしを経て東ドイツへと彼女の運命は激変する。
二代目トスカの話はサーカスの担当訓練士の女性の伝記という形をとって語られる。この第2話を読んでいる限りは人間が主人公なので、ふつうの文芸作品を読むスタンスで落ち着いて読める。
最後に三代目男の子クヌートが赤ん坊のころからだんだんと世界を理解していく様子がクマ目線で描かれる。動物園での閉鎖された暮らしがなんだか寂しい。
とにかく人語を操って人間と同様に暮らすクマ達と言う童話のような設定なので、それでありながら見せ物としてサーカスや動物園で暮らしてもいるし、人間扱いされているのやらいないのやら、たいへん不思議な読後感がある。とにかくシロクマなのでかわいらしくって仕方がない。
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