漫画家まどの一哉ブログ
「道化と王」ローズ・トレメイン
読書
「道化と王」 ローズ・トレメイン
作解剖医のメリヴェルは陽気で派手好き、ちょっと下品だが誰とでも親しく交わる人間だ。国王チャールズ2世の愛犬を治療したことから王のお気に入りとなり、医学を捨て道化役として宮廷に出入りすることとなる。国王の命令で王の愛人と偽装結婚し、郊外の邸宅に悠々と暮らす毎日を得た。
ただただ本能のままに快楽を追い求める男。ところが仮の妻に本気で惚れ込んでしまい、だんだんと恋の話に終始してくる。やや退屈してきたところで、ついに王の怒りをかって邸宅を追われる身となってしまった。ここからの展開が実によい。
彼の人生は極端に変わり、クェーカー教徒たちの営む精神病院で医師としての禁欲的な生活が始まる。それまでの享楽的な人生を打ち捨て心を入れ替え、ひたすら内省と患者の世話に明け暮れる毎日。私欲を去り神と他者に尽くすクェーカー教徒たちの生き様を読んでいると、はらはらと心地よい緊張感を得ることができる。
結局メリヴェルは俗を捨てきれない男で、女性患者に手を出してしまい、精神病院を去ることになるのだが、聖と俗の間で揺れ動く凡夫としての主人公がリアルだった。最後まで王様への敬慕の念を捨てきれないのが平民の悲しいところ。
「道化と王」 ローズ・トレメイン
作解剖医のメリヴェルは陽気で派手好き、ちょっと下品だが誰とでも親しく交わる人間だ。国王チャールズ2世の愛犬を治療したことから王のお気に入りとなり、医学を捨て道化役として宮廷に出入りすることとなる。国王の命令で王の愛人と偽装結婚し、郊外の邸宅に悠々と暮らす毎日を得た。
ただただ本能のままに快楽を追い求める男。ところが仮の妻に本気で惚れ込んでしまい、だんだんと恋の話に終始してくる。やや退屈してきたところで、ついに王の怒りをかって邸宅を追われる身となってしまった。ここからの展開が実によい。
彼の人生は極端に変わり、クェーカー教徒たちの営む精神病院で医師としての禁欲的な生活が始まる。それまでの享楽的な人生を打ち捨て心を入れ替え、ひたすら内省と患者の世話に明け暮れる毎日。私欲を去り神と他者に尽くすクェーカー教徒たちの生き様を読んでいると、はらはらと心地よい緊張感を得ることができる。
結局メリヴェルは俗を捨てきれない男で、女性患者に手を出してしまい、精神病院を去ることになるのだが、聖と俗の間で揺れ動く凡夫としての主人公がリアルだった。最後まで王様への敬慕の念を捨てきれないのが平民の悲しいところ。
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