漫画家まどの一哉ブログ
「死神の友達」 アラルコン
読書
「死神の友達」 ペドロ・アントニオ・デ・アラルコン 作
「死神の友達」 ペドロ・アントニオ・デ・アラルコン 作
「死神の友達」:本来貴族の胤裔であるはずの主人公青年。悪意の犠牲となって靴職人として世を過ごしているところ、死神が友人として現れその魔力に寄って貴族社会への復活を成し遂げる。長年想いを馳せていた女性とも結婚を果たす。そこまでは納得ずくの楽しいエンターテイメントだが、後半主人公は死神とともに空飛ぶ車に乗って高速度で地球を周回。彼の死の秘密が明かされるとともに、世界は最後の審判を迎える。19世紀小説とは思えない破天荒な展開。
「背の高い女」:街で追いかけてくる背の高い不気味な老婆。こいつが現れると身近に不幸が起きる。この女は現実に存在しているのか?それともオバケなのか?取っ組み合いの格闘をするところなど、やはり現実の女なのだが超人的な能力を持ち、死ぬまでたたってくるという恐ろしい短編。
やっぱ幻想文学は楽しいね。アラルコンもわくわくだ。現実離れした荒唐無稽な話なのに、人間社会のリアリティもあってダレない。そしてニヒリズムでないまでもペシミズムははずせないスパイスですな。
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