漫画家まどの一哉ブログ
「死の同心円」
読書
「死の同心円」 J.ロンドン 作
「死の同心円」 J.ロンドン 作
表題作を含む短編集。ジャック・ロンドンというと、アラスカなどの厳しい気候の中で動物ががんばる物語を思い浮かべるが、本質的には短編作家だそうだ。そうなると中には怪しげで現実離れした風味を味わうことが出来るものもいくつかある。ロンドンは、ヘミングウェイ、メルヴィル、コンラッド等と同じく行動型で肉体頑健な作家で、自身の冒険体験が豊富だから作品もどんどん大自然の中へ出て行くのかもしれない。
「マプヒの家」:珊瑚礁で囲まれた南洋の島。島民は真珠をとって生計をたてていた。かつてないほど大粒の真珠を手に入れたマプヒは、これを家一軒と引き換えに売る腹づもりである。ところが巨大ハリケーンが島を襲い、全てを破壊してしまう。
「恥じっかき」:毛皮を略奪しながらアラスカの大地を放浪してきた荒くれ者スビエンコフも、ついに現地人に囚われる身となった。次々と拷問されて殺されていく仲間を見て、どうしても拷問だけは避けてすんなりと死にたいと思ったスビエンコフ。一計を案じて、蛮人の首領をだましにかかるが、彼が言うところの魔法とは?
「影と光」:仲の悪い二人の青年化学者。一人は全ての光を吸収してなにも反射しない純粋な黒を開発し、一人は反対に全くの透明を開発した。まわりから見えない姿となった二人の対決やいかに!
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