漫画家まどの一哉ブログ
「巫女」 ラーゲルクヴィスト
読書
「巫女」ラーゲルクヴィスト 作
(岩波文庫)
ギリシャのデルフォイ。アポロン神殿が見える丘に一人住む老女が語る、巫女として神に仕えた運命と格闘の物語。
ラーゲルクヴィストは1951年ノーベル文学賞受賞のスウェーデン作家。
話の前半はふとしたことで神の悪意を買った男が歩んだ惨憺たる人生を、丘に住む元巫女の老女に訴える内容。そして大部分を占める後半が、応えとして語られる巫女の苦闘の半生である。
ここに登場する神は手に負えない荒ぶる神で、人間に対して容赦なく破壊的で横暴であり、暴君に魅入られるようなものである。正義や善意を旨としないものに、人間は支配されて生きていかねばならない。あんまりな解釈であるがそのじつ宗教の果たしている現実はそうなのかもしれない。
全く現代社会とかけ離れた設定ながら、宗教団体の経済がなりたっているシステムは現代社会そのままである。古代ギリシャを舞台としたいかにも作為的な設定で、老女の一人語りだけながら、単なる寓意小説でもなく多彩な出来事と喜怒哀楽で読み応え充分の傑作。
「巫女」ラーゲルクヴィスト 作
(岩波文庫)
ギリシャのデルフォイ。アポロン神殿が見える丘に一人住む老女が語る、巫女として神に仕えた運命と格闘の物語。
ラーゲルクヴィストは1951年ノーベル文学賞受賞のスウェーデン作家。
話の前半はふとしたことで神の悪意を買った男が歩んだ惨憺たる人生を、丘に住む元巫女の老女に訴える内容。そして大部分を占める後半が、応えとして語られる巫女の苦闘の半生である。
ここに登場する神は手に負えない荒ぶる神で、人間に対して容赦なく破壊的で横暴であり、暴君に魅入られるようなものである。正義や善意を旨としないものに、人間は支配されて生きていかねばならない。あんまりな解釈であるがそのじつ宗教の果たしている現実はそうなのかもしれない。
全く現代社会とかけ離れた設定ながら、宗教団体の経済がなりたっているシステムは現代社会そのままである。古代ギリシャを舞台としたいかにも作為的な設定で、老女の一人語りだけながら、単なる寓意小説でもなく多彩な出来事と喜怒哀楽で読み応え充分の傑作。
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