漫画家まどの一哉ブログ
「ブラス・クーバスの死後の回想」 マシャード・ジ・アシス
読書
「ブラス・クーバスの死後の回想」
マシャード・ジ・アシス 作
(光文社古典新訳文庫)
名家の生まれながら何事もなしえなっかた人生を、死んでから作家となって振り返る。19世紀ブラジル文学。
カバにさらわれる幻想。自分が死んだところから始まるなど、いささか奇妙な味わいはあるが、自伝文学の体裁をとって少年の頃より追って行きだすと、どうしてもよくある読書感覚になってしまう。
ところが作者も心得たもので、ごく短い章立てが160章まであり、しばしばエッセイのように気軽に書き手である現在の主人公が顔を出すので、読むほうも気がまぎれる。そうやって読んでしまうが、この登場人物に財力があるおかげか、あまり切迫した事件はなく、おもしろいのは密かに進む不倫のスリルぐらいだ。
この作品はそれまでのブラジル文学の画期となる記念碑的作品で、作者がブラジル文学史を代表する所以でもあるらしいが、今われわれがそれを知らずに読む限りでは、そこまでのいきさつはわからない。肩の凝らない純文学といった印象だった。
「ブラス・クーバスの死後の回想」
マシャード・ジ・アシス 作
(光文社古典新訳文庫)
名家の生まれながら何事もなしえなっかた人生を、死んでから作家となって振り返る。19世紀ブラジル文学。
カバにさらわれる幻想。自分が死んだところから始まるなど、いささか奇妙な味わいはあるが、自伝文学の体裁をとって少年の頃より追って行きだすと、どうしてもよくある読書感覚になってしまう。
ところが作者も心得たもので、ごく短い章立てが160章まであり、しばしばエッセイのように気軽に書き手である現在の主人公が顔を出すので、読むほうも気がまぎれる。そうやって読んでしまうが、この登場人物に財力があるおかげか、あまり切迫した事件はなく、おもしろいのは密かに進む不倫のスリルぐらいだ。
この作品はそれまでのブラジル文学の画期となる記念碑的作品で、作者がブラジル文学史を代表する所以でもあるらしいが、今われわれがそれを知らずに読む限りでは、そこまでのいきさつはわからない。肩の凝らない純文学といった印象だった。
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