漫画家まどの一哉ブログ
「具体⇄抽象トレーニング」 細谷功
「具体⇄抽象トレーニング」
細谷功 著
(PHPビジネス新書)
具体と抽象を行き来する思考の基礎構造を解説。
日常的に具体的な視点ばかりで世界を見ている言わば横の視点に対し、それらを統一する上位の概念、縦方向の視点が抽象的なものの見方である。個別なさまざまな事象に追われているより、一段メタな立場に立って見ることの有用性は言うまでもない。
ところが人間の多数はもっぱら具体的な思考しかしないので、抽象的な見方を理解できない。例えば昨今の短絡的な政治家は目先の効果・利害と比べて、学術の世界の理念的な取り組みを無駄と断じてしまう。また大衆は政策の根幹となっている理念に目が届かず、一度決まった政策には文句を言わずに粛々と従う。
この種の弊害は最近目につくようになってきたので、この本もタイムリーなものだと思う。具体と抽象を行き来する同じことでも、数種類の切り口と図説を使って解説。抽象化とは一つの括りで一旦切り取ることなので、その後具体化に降りてきた場合のトラブルもある。ビジネス書として書かれているが、自分のようにビジネスに無関心な者でも役に立つ。(と、思われる)
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