漫画家まどの一哉ブログ
「モスクワ妄想倶楽部」 ストルガツキイ
読書日記「モスクワ妄想倶楽部」A&B・ストルガツキイ 作
ペレストロイカ以前ブレジネフ体制末期のソビエト文壇を舞台に、作者やその周りの文士達をモデルにした愉快なギョーカイ小説。当時の現役作家全員を統括する協議会(実はソビエト作家同盟)の命令により、各作家は自分の書いたものを数点協議会に提出しなければならない。提出された作品は「文才測」と呼ばれる機械にかけられ、作家に才能があるかどうかが数値化して判定される。しかしその数値はどうやら才能ではなく、未来の売れ行きの判定らしい。しかもその機械を操っている役人は今は亡きブルガーコフかもしれない…。
文壇の世界など一般には興味がないところだが、発行部数が文化担当者の裁量による割り当てできまるなどソビエト体制下の仕組みがヘンだし、基本的に文壇の風習や人間関係などを茶化して書いてるので愉快な読み心地。しかも奇妙なことばかり起きる。
同じアパートに住む詩人が食中毒で病院に搬送されたが、友人でもない彼のために秘密の薬をわざわざ遠方の研究所へ通行証もないまま忍び込んでもらってくるハメになる。
行く先々でチェックのコートを着た男に見張られている。
レストランで困窮した男から「最後の審判のラッパ」の総楽譜を買わされるが、どうやら大変なものらしい。などなど。
映画で有名な「ストーカー」の作者だとは知らなかったが、この面白さはSF的な資質から来てるのかな?
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