漫画家まどの一哉ブログ
「ノートル=ダム・ド・パリ(上)」 ユゴー
「ノートル=ダム・ド・パリ(上)」
ユゴー作
(岩波文庫 辻 昶・松下和則 訳)
15世紀パリ。ノートルダム大聖堂の鐘番であるせむし男をめぐる数奇な運命の物語。
「ノートルダムのせむし男」として知られる傑作長編。文庫本上巻の半分までは詩人にして劇作家のグランゴワールを中心に話が進む。彼の創作による聖史劇が上演される裁判所大広間にさまざまな人物がなだれ込み、群衆を巻き込んでの大騒動になるのだが、かなりのドタバタ劇で楽しい。
いっかな見てもらえないまま聖史劇は終わり、主要人物せむし男のカシモドやジプシーの踊り子エスメラルダなども登場するが、貧乏詩人グランゴワールの悪運とその夜の放浪が描かれて物語の4分の1は終わる。
そのあと幕間の息抜きのためかノートルダム大聖堂の歴史や15世紀のパリの様子、印刷術の発明により文化の担い手が建築から印刷物へとシフトすることなど蘊蓄が披露される。面白く読めるがかなりの長さだ。
さていよいよ主人公カシモドの話。身障者として生まれた彼だが、子供のうちから動物や悪魔の子呼ばわりされ容赦のない差別を受ける。そして情に熱く美しい若き踊り子エスメラルダ。彼女もジプシーゆえの蔑視経験は言うまでもない。だがこの2人、実は幼き頃より運命の糸で結ばれていた?!
ロマン主義文学の魅力満載の面白さ!以下下巻へ!
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