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「アポロンの眼」

読書

「アポロンの眼」 G・K・チェスタトン 作

推理ファンでなくともなんとなく聞いたことがあるブラウン神父シリーズ。推理小説の古典として今も愛され続けているようだ。このチェスタトンは怪奇幻想文学の類いとしてしばしば登場するので、ミステリーに疎い自分でもこれは読んでみなくてはと挑戦したしだい。なるほどカトリックの立場で書かれているせいか、なんとなく神秘的で古風な味わいはあるが、ポーほどの溢れ出るイメージや狂気はない。少し読んだだけだが、どれも着想はおもしろかった。

 

「奇妙な足音」:小さいながらも特定の客しか入れない高級ホテル。そのレストランに集う12人の客と15人の給仕は、皆おなじような正装をしていて区別がつかない。給仕が一人殺され銀の食器が盗まれた当日、個室にいたブラウン神父は廊下を連続するゆっくりした足音と急いだ足音を聞いたが、これがなりすましを解く鍵となった。

 

「アポロンの眼」:太陽を信仰する新興宗教の教祖。その愛人である利発なタイピストの女性は莫大な財産を所有していたが、教祖がバルコニーから街頭演説している最中に、エレベーターから転落して死んでしまった。あるべきはずのエレベーターはなく、女性は開いたドアから奈落へと踏み込んだのだ。まんまと成功した犯人の罠だったが、肝心の遺言状は何故か文字が消えているのだった。

 

「イルシュ博士の決闘」:スパイ容疑で決闘を申し込まれたイルシュ博士。ところが相手の大佐は決闘を申し込んでおきながら直前に行方をくらます。姿形がまるで正反対のイルシュ博士と大佐。ブラウン神父たちは逃げ出した大佐の後をつけていくが、なんと大佐はイルシュ博士宅に裏庭から入り、鏡の前でその変装を解くと現れたのは…。

 

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