漫画家まどの一哉ブログ
「はるかな星」 ボラーニョ
読書
「はるかな星」ロベルト・ボラーニョ 作
アジェンデ政権の時代。とある詩の創作サークルに不思議な男がやってきた。背が高く人当たりも良く、女子学生にもてていたが目の奥底には冷たい光。この男が後のピノチェト軍政下に名前を変えて、飛行機を操って空に詩を書く人気者となって現れる。だが男は実はサイコパスで死体写真の展示会を開くだけでなく、実際に起きた殺人事件に関わっていた。
このサークルに通っていた若き詩人を語り手とし、謎の飛行詩人の後を追う。ピノチェト軍政下となって主人公も友人も祖国チリを捨てて国外に亡命。同じように多くの詩人がフランスやイタリア・スペインなどに逃げ延びた。その数名のエピソードも挟まれる。中でもスペインに移り住んだ両腕のない詩人の街頭パフォーマンスを気に入った画家マリスカルが、自身が作成したバルセロナパラリンピックのマスコット・ペトラの役を依頼する話が面白い。激変するチリ社会を捨てて詩人達はどう生きたか。
後半、スペインで暮らしていた主人公の元へ、チリの敏腕刑事だった探偵が現れるところから、話は殺人犯である飛行詩人追跡へと戻っていく。
ミステリーではないが、社会派サスペンスのようなリアリズムの骨格をしっかり持っている作風で、必要以上に感情に流れず内面的でもない描写が心地よく、緊張感を持って読めた。
「はるかな星」ロベルト・ボラーニョ 作
アジェンデ政権の時代。とある詩の創作サークルに不思議な男がやってきた。背が高く人当たりも良く、女子学生にもてていたが目の奥底には冷たい光。この男が後のピノチェト軍政下に名前を変えて、飛行機を操って空に詩を書く人気者となって現れる。だが男は実はサイコパスで死体写真の展示会を開くだけでなく、実際に起きた殺人事件に関わっていた。
このサークルに通っていた若き詩人を語り手とし、謎の飛行詩人の後を追う。ピノチェト軍政下となって主人公も友人も祖国チリを捨てて国外に亡命。同じように多くの詩人がフランスやイタリア・スペインなどに逃げ延びた。その数名のエピソードも挟まれる。中でもスペインに移り住んだ両腕のない詩人の街頭パフォーマンスを気に入った画家マリスカルが、自身が作成したバルセロナパラリンピックのマスコット・ペトラの役を依頼する話が面白い。激変するチリ社会を捨てて詩人達はどう生きたか。
後半、スペインで暮らしていた主人公の元へ、チリの敏腕刑事だった探偵が現れるところから、話は殺人犯である飛行詩人追跡へと戻っていく。
ミステリーではないが、社会派サスペンスのようなリアリズムの骨格をしっかり持っている作風で、必要以上に感情に流れず内面的でもない描写が心地よく、緊張感を持って読めた。
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