漫画家まどの一哉ブログ
「ガルシアの首」
映画
「ガルシアの首」 1974年 アメリカ
監督 サム・ペキンパー
出演 ウォーレン・オーツ、イセラ・ベガ
ペキンパーと聞けば素人の自分でもバイオレンスと認識する監督だが、自分はそもそもバイオレンスに関しては感受性が鈍い方らしく、銃撃戦自体はなんとも思わなかった。砂塵舞い飛ぶメキシコの田舎で、汗臭く泥臭く、つまり男臭く繰り広げられる闘い。そこで恋人を失った賞金稼ぎの主人公が、虚しくも死んで最後かと思いきや、しつこく生き延びてヤクザを葬り、依頼主の大地主の屋敷にまで乗り込んで行こうとは!このあたりやや蛇足の感があったがエンターテイメントの法則としては正解なのだろう。冗漫になるところを主人公が恋敵でもあるガルシアの首につねに語りかけているところが大切な描写だと思う。
それよりも恋人エリータと育まれる愛の語らいが、なんとも心温まるもので、言葉には出さない表情やしぐささえもが二人が愛し合っているのがよく分かって微笑ましかった。これは後半エリータが犠牲になってからの復讐劇を盛り上げるために必要な伏線であると、ストーリー構成上理解することはもちろん出来るが、銃撃戦よりはよっぽどリアリティを感じられた。旅に出た二人が樹のたもとで結婚を誓い合うシーンが素敵だ。銃撃戦は主人公だけ弾に当らず、相手には当たるから妙だ。
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