漫画家まどの一哉ブログ
アックス87号を読む
本秀康特集。本さんは優れた短編作家で、悲しくも愉しくも極めてアットハートな作風だ。そんな本さんの代表作は長編「ワイルドマウンテン」だが、この長編をものにしても読者からの反応は薄く、漫画というよりはイラストの連続のように観られているのだろうか。読者一般に漫画としてイメージされているものはかなり限定されているようだ。
新たに始まったベンチウォーマーズの連載の中で南伸坊氏が斎藤裕之介氏にアドバイスしているのだが、やはり漫画ばかり見ていちゃだめだ。これは絵に関する問題で、もっと絵画作品など観て模写してみよとの仰せなのだが、自分などはストーリーに関しても映画・小説・落語などなんでもいいから惚れ込んでる必要があると思う。だいたい漫画だけたくさん見て、漫画史上どれが名作かなんて視点は狭いもんで、やはり先行する他分野をよく知っていての評価基準を持っているべきではなかろか。
自分は「灰」という昔話の「花咲か爺さん」を元ネタにした漫画を描いているが、読み返してみると展開が解りにくかったか?とかセリフが単純すぎたか?とか反省することしきりである。ラストは灰が飛び散って、多くの樹々は枯れてしまったのに、ある花だけは満開になっているという皮肉な結果を描いているが、コマ進行が失敗していて通じなかったかもしれない。とも思うし、いやいやこれでちゃんと出来ていると満足していたりもする。 現代日本の蒲松齢こと鳥子さんは相変わらず絶好調だ。菅野さんも自分で絶好調といっているとおり!こんな素敵な「アックス87号」はアックスストアでお買い求め下さい。
https://ax.ofthemall.com/
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