漫画家まどの一哉ブログ
架空13号を読む
おんちみどり特集。現在自分が最も面白いと思っている漫画家のひとり。こんな愉快な絵でシュールなハナシが成立することじたいが愉快だ。よく純粋階段のようなものが画面に溢れていて、明らかに不思議な空間なのだが不安な感じがしない。時間の進み方もゆっくりしていて呑気なムードがたのしい。実は4コマ漫画が秀逸。
つげ義春の小特集のなかで、西野空男が「ねじ式」のパロディを描いているが面白い。「ねじ式」はだれでも一度は描いてみたい要素に満ちあふれている。それは「ねじ式」はシュールと言っても作者の生々しい感性が表面的には押さえられていて、旅漫画と同じ描き方で描かれているためだと思う。手ざわりとしては写真を懸命に模写すれば描けそうな作風である。言い換えれば細密な描写あってこそ成り立っている漫画であるとも言えるので、パロディひとつ描くにしても労力はたいへんだろう。
商品として考えなくても、漫画作品としての完成形というのはおそらくあって、それは読者に対する義理や礼儀のようなものだと思うが、「架空」はそのへんから自由な雑誌である。三本、鳥子、キクチ氏などベテラン作家はいつものペースであるが、若手は良い意味でも悪い意味でもそんな自由さを発揮しているようだ。
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