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漫画家まどの一哉ブログ

   
芥川龍之介全集6

読書

芥川龍之介全集6

読んだことのある名作も含めて、筑摩文庫の一巻を読む。

自分は芥川ファンだが感想は世間一般に言われているもの以上の言葉をもたない。おもしろさの理由を寓意や風刺や狂気といってしまうと作品の外周をぐるぐる回っているに過ぎない気がするが、多くは他に方法を持たない。そうやって評価しても追いつかないのが名作の名作たる所以か。

ここで漫画界のことを持ち出してすまないが、大枠でしか語らない文化論的な漫画評論がつまらないのと同じ気がする。

 

芥川は古典に材をとった技巧を凝らした寓意溢れる短編もあれば、身辺雑記的に日常を描いた私小説的なものも多くある。この身辺雑記的なものは、なにが面白いのか分からないままスラスラと読まされてしまって退屈しない。おそらく文章にその秘密があるのかと推測するが、小説家でない自分にはわからない。

それでも晩年の「歯車」「暗中問答」「或る阿呆の一生」などは単なる身辺雑記を遥かに越えた鬼気迫る内容でぞくぞくとする。私小説という枠でみれば自己批判や自己憐憫はつきものだが、そんな余裕を感じさせない脳神経の疲弊が描かれていて恐ろしい。精神性云々よりこの病的な感じが、たとえば死の直前のゴッホの作品をみるようなザワザワとした印象だ。この精神状態で作品が成立していることが希有な事例で、じっさいこのあとは死か発狂しかないといったところだったのだろう。もし芥川がこのあとも書き続けたとしたら、破綻したものになってしまっている可能性もある。ここで終わったのが良かったのか悪かったのか…、考えてもしかたがない。

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