漫画家まどの一哉ブログ
「妖精・幽霊短編小説集」 J.ジョイス、W.B.イェイツ ほか
「妖精・幽霊短編小説集」
J.ジョイス、W.B.イェイツ ほか
(平凡社ライブラリー・下楠昌哉 訳)
アイルランドの怪奇短編を妖精、心霊など8つの項目でくくり、各章の末尾に「ダブリナーズ」からの幽霊譚を配置する魅惑のアンソロジー。
ジョイス以外の怪奇短編はあまり知らない作家も多く、それでも楽しく読めた。とは言っても表現としては単純なものも多い。そのなかではJ.S.レファニュという人が面白かった。またディケンズの有名な「第一支線 信号手」もあるが、久しぶりに読むと何故か混乱した。
「ダブリナーズ」は幽霊譚ぽいものを選んであるが、さすがにそもそもの現実の世の人間たちの面白さ。会話の妙味。汲めども尽きぬ表現の多様さがあって幽霊は不要だ。
「自分の魂が、ゆっくりと消え去ってゆく。儚く雪は降る。宇宙を通じて、最後の死が降りたつように、全ての生者たちと死者たちの上に。」「死者たち(抄訳)」より
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