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漫画家まどの一哉ブログ

   
仮名草子「竹斎」
読書
仮名草子「竹斎」
富山道治 作(1634年没)

京の都で食い詰めたヤブ医者竹斎。思い切って下僕の「にらみの介」をお供に江戸への移住を目指す。その道中記かと思いきや、確かにそうなのだが記述バランスが道中より定点(京都・名古屋・江戸)に置かれていた。出発前に清水寺はじめ、有名な神社仏閣にお参りし、また酒盛りや蹴鞠などをして遊ぶ洛中の人々のようすを見物しては、戯れ歌を一首、二首残していく。例えば蹴鞠を見て
 へたのける けまりはぜんしゅ(禅宗)のなまざとり(生悟り)
  ありといへどもあたらざりけり

やがて名古屋について、「天下一・やぶくすし・竹斎」という看板を出して、しばし営業に励む。自分でヤブを名乗るところがおもしろく、かえってウケて客をよぶ。ある日、鉄粉が目に入ってしまった鍛冶屋に、磁石を刷り込んだ膏薬を目に貼って、鉄粉の取り出しに成功。これに気を良くしたか梅の実が喉につかえた女にもこの膏薬を使ったところ、梅は出たが目鼻が顔の中央に吸い寄せられてしまう(そんなバカな)。これに「梅の療治は心得たり。目鼻のことはしらぬ」と答えてうちたたかれそうになる。また、井戸に落ちた子供を救出するにもこの磁石入り膏薬を使い、木の蓋に膏薬を貼って吸い付いてくるのを待つのだが、あわれ子供は死んでしまい、竹斎は袋だたきに。

そんな愉快なエピソードも交えつつ、江戸まで行くオハナシ。仮名草子は泰平の世の中を反映してか、無常観は薄いものらしいが、この話はいたるところ諸行無常・諸行無常の嘆き節の連続で、自分はやっぱり仏教的無常観を感じた。

ところで続編「竹斎狂歌物語」で京都まで帰ってくるよ。

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