漫画家まどの一哉ブログ
「燃える平原」 フアン・ルルフォ
読書
「燃える平原」
フアン・ルルフォ 作
短編集。巷間耳にするフアン・ルルフォの多大なる評価が自分にはもうひとつわからなくて、先に読んだ代表作「ペドロ・パラモ」はマジックリアリズムの嚆矢としては面白いが、20世紀文学の最高峰といわれると首をかしげてしまう。この短編集はマジックリアリズムではなく、ほんとうのリアリズムで十分面白いが衝撃というほどのことはなかった。
革命前後の騒乱で国情安定せず、暮らしもままならぬ多くの農民。跋扈するあらくれ者集団とボスたち。くりかえされる銃撃戦。放浪する土地を捨てた人々。殺伐とした世界をまさに民衆当事者の語り口で語るから、読みやすいしリアルに伝わってくる。過酷な運命の中で格闘する人々が登場するが、そんな社会条件では実際そうだろうなと思うことばかりで、人間そんなこともするのか!といった驚きや意外性はない。
むしろ文庫本解説では異質とされている2作が面白かった。
「ルビーナ」:あまりにも何もない町ルビーナ。土地は痩せていて雨も降らず、始終石灰を含んだ猛烈な風が吹き荒れ、年寄りと女しかいなくて店もない。ルビーナがいかにひどいところかを切々と語り続けるだけの話。
「アナクレト・モローレス」:捕まったアナクレト・モローレスを聖人と崇め奉る女たちが、村はずれに住む第一の弟子を証人にたてようと連れもどしにやってくる。ところがこのアナクレト様、実はたいしたペテン師で女たちはまんまと騙されているが、結局はエロオヤジらしい。
「燃える平原」
フアン・ルルフォ 作
短編集。巷間耳にするフアン・ルルフォの多大なる評価が自分にはもうひとつわからなくて、先に読んだ代表作「ペドロ・パラモ」はマジックリアリズムの嚆矢としては面白いが、20世紀文学の最高峰といわれると首をかしげてしまう。この短編集はマジックリアリズムではなく、ほんとうのリアリズムで十分面白いが衝撃というほどのことはなかった。
革命前後の騒乱で国情安定せず、暮らしもままならぬ多くの農民。跋扈するあらくれ者集団とボスたち。くりかえされる銃撃戦。放浪する土地を捨てた人々。殺伐とした世界をまさに民衆当事者の語り口で語るから、読みやすいしリアルに伝わってくる。過酷な運命の中で格闘する人々が登場するが、そんな社会条件では実際そうだろうなと思うことばかりで、人間そんなこともするのか!といった驚きや意外性はない。
むしろ文庫本解説では異質とされている2作が面白かった。
「ルビーナ」:あまりにも何もない町ルビーナ。土地は痩せていて雨も降らず、始終石灰を含んだ猛烈な風が吹き荒れ、年寄りと女しかいなくて店もない。ルビーナがいかにひどいところかを切々と語り続けるだけの話。
「アナクレト・モローレス」:捕まったアナクレト・モローレスを聖人と崇め奉る女たちが、村はずれに住む第一の弟子を証人にたてようと連れもどしにやってくる。ところがこのアナクレト様、実はたいしたペテン師で女たちはまんまと騙されているが、結局はエロオヤジらしい。
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