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「気違い部落周遊紀行」
読書(mixi過去日記より)
「気違い部落周遊紀行」
きだ みのる
著(冨山房百科文庫)

戦中から戦後にかけて、東京都下の山村に住んだ著者が、その村社会を活写したフィールドワーク。
フランスの社会学・人類学の翻訳家である著者が、都市生活者の目で観た、伝統的で閉鎖的な日本の村社会。それははたして「気違い部落」と呼ばれるほどの驚きを持ったものなのか、はたまた逆にそれを笑う都会人のほうが「気違い部落」の住人なのか。

著者が移り住んだのは山寺だが、ここの住職は「人間、肉体の欲望に忠実に生きることこそ真実」との哲学のもとに、博打と女買いにあけくれたあげく行方不明になっていて、かわりに蓄音機が経を読むという合理的なシステムになっていておかしい。

村人はもちろん自分の作る農作物の改良・増産には感心があるが、それは自分家だけが抜け駆けできる場合に限った話で、全体の収穫が上がったのでは結局価格が下がるだけだから、自分の畑だけの豊作を考える。

したがって私欲の満たされない、山の木を刈るなどの共同作業は、たき火の周りでだべっていることに多くの時間が割かれ、まったくもって進まない。

もちろん隣人が病気になったときなどは、相互扶助の精神が自然と発揮されて、大切な卵でも気前よく分け与えたりもするが、これが単に食料に困窮しているとなると、とたんに弱肉強食の自然状態となり、たまごは高く売りつけられるのである。

と、要約していくとキリがなく、戦後民主主義下での村議選の様子などは、選挙前から義理と実弾によって当選者が決まっているところなど、今もっておなじみの風景だ。
10年以上前初読の時には、都会とは違う、今も残る村社会の後進性を描いたものだと思ったが、今回再読してみて感じるのは、なんのなんの、これは現在も変わらぬ都会も含めた、日本社会そのものであり、それどころか人類全体に通じる本質だということ。世界中いつだって人間のやることはこういうもんだよ。

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