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「正義とは何か」 神島裕子
読書
「正義とは何か」神島裕子 著
(中公新書)

「正義」というとややきれいごとめいたなニュアンスがあるが、公正(フェア)というものは、自分にとってあくまで理想としなければならない社会目的なので、気になって読んでみた。
ロールズから始まって、リベラリズム・リバタリアニズム・コミュニタリアニズム・フェミニズム・コスモポリタニズム・ナショナリズムの代表的な論考を紹介。本気で関心があれば原典にあたればよいが、そこまでの興味もない自分にはうってつけの入門書だ。

現在進行形でみるみる変わっていく世界が対象なだけに、思想が発表された時代の限界というものが感じられる。そのせいか、この本でベースとなっているロールズの言う正義がいちばんわかりにくかった。なぜそこで線を引くのか、ロールズの設定する枠組みがわからない。それに比べるとアマルティア・センの、平等であるべきは基本財ではなく「基本的ケイパビリティ(潜在能力)」であるという話の方が納得がいく。

フェミニズムのオニール、オーキン、ヌスバウムらの話はすべて素直に理解出来るものだった。自分はそんなにリバータリアンでないので、小さな政府よりもサンデルの言う福祉国家を支持する。また、コミュニタリアニズムやナショナリズムで共同体に伝統的なものやネーションを持ってくるのは疑問を感じる。本書では過激なコスモポリタニズムや、ナショナリズムと人権の位置付けなどもいろいろと紹介されるが、やはり難民問題が発生して以降いずれも大きく動いているようだった。

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