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「日本人のための世界史入門」小谷野敦
読書
「日本人のための世界史入門」 小谷野敦 著


通史としての世界史をあっという間にギリシャから現代まで駆け抜ける入門書。地中海から中国、新大陸までをまんべんなく振り返ると、えてしてメリハリのない教科書的なものになりがちだが、ふんだんに雑学を雑えて退屈しない仕掛けになっている。
素人にとって歴史の楽しみは、やはりドラマを観るように英雄の足跡を追いかけるところから始まる。ところが学問として歴史をやるとなるとそうではなく、キリスト教史や労働運動史・民衆史など非常に細かい話になってしまう。もちろん生産力や生産手段の発達など下部構造なんたらかんたらの話などもあるだろうが、それを理解することだけが歴史を深く理解したというのでは、人間の多様な営みを見失ってしまうかもしれない。


つまり歴史に通底する深い意味が必ずあるかというと、案外そんなことはなくて、歴史とは様々な偶然の連なりであるらしい。たとえば皇帝と王の違いも、はっきりとしたものがあるわけではなくあいまいである。ルネッサンスとはなにかと言われると、おおざっぱに人間主義復活と言えるというだけのことだ。ムリに意味付けすることはないのだ。歴史とはたまたまそうなったというだけのことで、たまたまその時の支配者の性格のせいで、こんな事件が起きたと考えても間違いではない。ブルジョアジーの興隆や労働者階級の発達が、生活や文化に変化をもたらしたにしても、具体的にはそれと矛盾することなく人間の雑多なその場その場のふるまいが、多彩な歴史を繋げてきたのだはないか。
その意味で素人の歴史好きもべつに間違いではないのだ。

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