漫画家まどの一哉ブログ
「心を持つAIは作れるのか?いや、そもそも人に心はあるのか?」 前野隆司
「心を持つAIは作れるのか?いや、そもそも人に心はあるのか?」
前野隆司 著
(PHP新書)
無意識のなせる全てのワザを最後に選択して記憶する。そこから生まれる意識の正体を明らかにする。
まずベンジャミン・リベットの有名な実験を紹介。手首を動かそうと意識する瞬間より前にすでに脳では運動準備電位が流れている。我々が自由意志で決めていると思ったものは、全て無意識の結果であり、意識とは自然界を生き抜くために発達したエピソード記憶生成のための方便である。
人間は脳内に意識という全てをコントロールする中央コンピューター(司令塔)があって動いているわけではない。その逆に様々な情報処理は無意識が自律して行なっていて(自律分散処理システム)、そのいくばくかを最後に自分が意図してやったことしてまとめた結果が意識なのだ。これが著者の「受動意識仮説」である。
これは意識に関してかつて耳にした見解の中で最も頷けるもの。自分が決めて動いているという自由意志も幻想であり、感覚や感情などのクオリアも無意識に追従する幻想である。意識が今起きたことと思っている時間さえも脳内で辻褄が合わされている。
我々が生きやすいように自分という物語が生成されていくのだ。
人間は自由意志の責任や呪縛から解き放されて、もっと安心して生きることこそ幸福ではないか。これが著者の提唱する幸福論。無意識をコントロールして生きる方法となると、わりと一般的な地道な積み重ねの生き方となるが、きわめてまっとうなものである。
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