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漫画家まどの一哉ブログ

   
「ロボット」

読書

「ロボット」

チャペック 作

ロボットSFの嚆矢。1920年代の作品ながらロボットという設定がどうしても描いてしまう人間存在や社会と労働の問題は色濃く描かれていておもしろい。

おどろいた事にここで登場する人間そっくりのロボットたちは、機械仕掛けではなくバイオテクノロジーの産物だ。生命に簡単な発達を促す方法で、即席人間のようなものを大量に工場生産してしまう。彼らは感情を持たないし、死さえも恐れない理想の労働者だった。

やがて世界中に広まったロボットたちが人間に反旗を翻し、物語は残された少数の人間たちの末路まで行き着くところは、短い戯曲ながら大きな展開で、現代から見るとお約束だがそんなことは気にならないスピーディーなおもしろさがあった。 世界を支配したロボットたちだが、実はその寿命は20年しかないというところも、現代のレプリカントに受け継がれている設定で、やはりロボットは早死にするか永遠に死なないかのどっちかでなければ、人間の死の問題をあぶりだすことはできまい。

さてロボットたちが生き残ろうと思えば、開発者が残した創成のヒミツを知る以外解決の道はないのだが、その書類も既に灰燼と帰した最後に、愛に目覚めたロボットのアダムとイブが現れるところで話は終わってしまう。どうなりますやら。

自分はSFの黎明期のようなものは好きで、ウェルズはどれも面白いし、リラダンの「未来のイブ」やザミャーチンの「われら」など楽しかったが、その後発達したSFの世界にはどうもついていけないという古い人間だ。えらいすんまへん。

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