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「つげ義春1968」 高野慎三
読書
「つげ義春1968」 高野慎三 著

「ねじ式」を中心に当時「ガロ」編集者であった高野さんとつげさんの交流を綴る。ある程度は知っていることながら、自分はまだ子供だった1968年。つげさんや忠男さん、滝田ゆうや石子順造らの連日のマンガに対する真摯な集まりを、ほほえましく思うことはできなかった。なにか非常に悲痛な感じがして読書はしばしば中断した。たぶんそれはこの時代に、このメンバーだったから生まれた繰り返しのきかない1回きりの出来事だったからではないか。戦後という状況を常に基本にされる高野さんはだが、もはや戦後ではなく、闘争の季節も終わろうとするころ、当時の「漫画主義」同人の雰囲気は読んでもわからない。自分など後輩ながらわりと近いポジションにいるとはいえ、ちょっと近寄りがたい世界な気がする。この感想は自分でも謎だ。


本書ではつげさんが「ねじ式」発表に至るまでのつげさんの構想と、発表後の世間の騒ぎ方に対する疑義がくりかえし語られている。高野さんの言うように「ねじ式」そのものが作品として完成度に甘さのあるものかどうかは自分にはわからないが、この作品に他分野のインテリが好き勝手な解釈をつけて盛り上がっていることへの不愉快は、まさに同意するところ。それはそもそも大好評だった旅シリーズが、読者にわかりやすいがために、マンガ表現にいかなる革新が起きているのか理解できない人達の格好の遊び場とされたのではなかったか?
その事態はマンガ評論という分野で今でもまったく変わっていない。安部慎一や鈴木翁二、菅野修などつげ義春以降の作品群が到達した表現より、相変わらず与し易い簡単な表現ばかりを喜んでいながら、つげ義春だけは神様扱いというのはどう見ても怠慢ではないか。とは言え私はそもそも漫画評論という分野は専門外なのだ。はっはっはっは。

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