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漫画家まどの一哉ブログ

   
「かくれんぼ・毒の園」 ソログープ
読書
「かくれんぼ・毒の園」ソログープ 作
(岩波文庫)

ソログープは19世紀末から20世紀初頭において花開いたロシア象徴主義の前期を代表する作家。神秘的・幻想的な作風だが、この短編集は子供が主となる作品が多くファンタジーのような風味がある。しかしペシミスティックな世界観のせいか冷たいお伽噺といった感触である。どの子供も悲しい運命を背負って生き死にする。

個人的には子供の話が苦手なので、子供が登場しない「毒の園」と戯曲「死の勝利」がよかった。
毒の園」:毒のある植物で育てられた息から毒を吐く女の悲劇。この設定はなんとなく既視感があるが、この作品が嚆矢なのかわからない。
「死の勝利」:魔女のたくらみにより、王妃と魔女がまんまと入れ替わってしまうが、よく考えたら変装はあっても、さしたる魔法を使っているわけでもない。正体がばれて刑死してから蘇って執念深くも王を誘うところはなるほど魔女である。ただし彼女はほんとうに王様を愛してしまったというこれも悲劇である。このように典型的な設定としての古き王室限定の舞台は、読むほうもあまりリアリズムを気にせず記号的に楽しめて便利だ。ただし作中、アウトモビル(自動車)とか、暗いから電気をつけるとかちょっとしたおフザケあり。

この文庫本は1937年の岩波文庫初版に1952年の創元文庫版を付け加えたもので、なるほどちょっと古風な訳文があるが、これも楽しみであります。

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