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漫画家まどの一哉ブログ

   
「幻燈13」
  

つげ忠男の描く夜の街。この突き放したような殺風景な情緒を見よ。1960~70年代に「ガロ」で名作「無頼の街」などを連載していたころから、本質的にはまったく変わっていない。この裏寂れた下層の情景がたまらない。今回の作品「変転」にはエリート層らしき銀行マンが登場するが、エスタブリッシュな階層がまるで感じられず、ジーパン屋の亭主にしか見えない(笑)。

変わらないと言えば菅野修の描く帽子の男。初期作品からこの顔の大きい左向きの悲しげな表情の男が主人公として登場するのが一貫している。やはり作者の分身というか本質なのだ。菅野さんも長い間描いてきて結局原点は揺らがないのだ。これしかない。

でもそんなことをいえば、うらたさんの描く少女も変わらないし、やはり描くべきものを持って描いているからなのだなと思う。そこがなかったら漫画なんて描かないよね。

甲野酉さんの「眩ます」は、主人公が街中を移動することを、ゆっくりコマ数を使って描いてあって、実はこのコマ時間がこの作品の味わいであります。

それにしても斎藤さんの4コマはおもしろいな。使い勝手のいいキャラクターがいっぱいいるんですよ。でもこれも作者の分身だと思われる。

ガラリと作風が変わってしまう漫画家もたまにはいますが、変わらない人のほうが多い気がする。「幻燈」の作家は作風も変わらないが、何年経ってもちっとも有名になっていないという点でも相変わらずだ。そしていよいよ老境だ。

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