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漫画家まどの一哉ブログ

   
手塚治虫雑感6
mixi過去日記より
デフォルメと記号

手塚の脳にはむかし漫画が獲得した、ギャグのためのデフォルメが自然と染み付いていて、のがれられなかったかもしれない。極端に怒るとか、泣叫ぶとかの場面でまだ出てくる。笑いのためのシーンならまあ許せるけど、かなりシリアスなシーンで使われると、残念な気持ちになる。例えば別れの盃を酌み交わすときに、大口へ上から滝のように落としこむなど…。

手塚は自分の漫画を記号で出来ていると自覚していたようだが、さすがに後期大人向け作品はリアリズムを意識してはいる。ただ記号表現も漫画を描く楽しみのひとつだとは思うので、ボクなんかはもう少し昇華できないかと考えている。岡田史子がやったような表現主義的な方法はひとつの回答だと思うが、岡田史子以外にそれを引き継いだ人間はいない。なかなか出来るもんじゃないか?

でも考えてみたら記号なのはデフォルメされた部分だけじゃなくて、キャラクターもその行動もそのセリフも、全てストーリーを説明するための記号に過ぎないのかもしれない…。まあ全てとは言わないけど、ストーリー性が濃い作品の場合、限られたページ数の中でどうしても読者に説明しなければいけないから、一見記号とは気付かないが、その実記号なのでしょう。それがくり返されるうちに、所謂お約束に発展してしまうのかもしれません。

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