漫画家まどの一哉ブログ
「鷗外先生」永井荷風
読書
「鷗外先生」永井荷風 著
(中公文庫)
師と仰ぐ森鴎外の歴史小説と死語の顕彰について。愛した向島・玉の井ほか浅草などの街の変遷。若いころの文壇デビューや上田敏との交流を描く「書かでもの記」など荷風随筆集。
娘の森茉莉が初めからしっかり計画したままに書かれていて面白さに欠けると評する鷗外。後期の歴史ものについて「渋江抽斎」など確かに大衆ウケはしないだろうがその魅力を解説。いかに歴史そのままに書いたにせよ、朝露に濡れる蜘蛛の糸などのちょっとした描写をはさむなど、鷗外の文章が魅力溢れるものになるのは当たり前な気がする。
「玉の井見物の記」「寺じまの記」など路地をウロウロ歩いて、二階家の女たちからチョイトチョイトと声をかけられお茶だけ飲んで帰るが、路地の別れ角に「ぬけられます」の灯りが見えるなど、寺じまとは我々にはおなじみ滝田ゆう「寺島町奇譚」の舞台である。「寺島町奇譚」と「濹東綺譚」についてはたぶん誰か書いていると思う(知らんけど)。
「書かでもの記」:歌舞伎座座付き作者目指して下働きにはげむ様子など意外な感がある。広津柳浪へ弟子入り志願の顛末。上田敏は若手である荷風への友情など、けして偉ぶらない実にいい人だ。
別に文庫巻末では谷崎潤一郎・正宗白鳥の自作への評価について、多大なる感謝を掲載。老いて孤独に暮らす荷風の晩年を迎える心情がありありとわかる。しかし正宗白鳥と同い年である。
「鷗外先生」永井荷風 著
(中公文庫)
師と仰ぐ森鴎外の歴史小説と死語の顕彰について。愛した向島・玉の井ほか浅草などの街の変遷。若いころの文壇デビューや上田敏との交流を描く「書かでもの記」など荷風随筆集。
娘の森茉莉が初めからしっかり計画したままに書かれていて面白さに欠けると評する鷗外。後期の歴史ものについて「渋江抽斎」など確かに大衆ウケはしないだろうがその魅力を解説。いかに歴史そのままに書いたにせよ、朝露に濡れる蜘蛛の糸などのちょっとした描写をはさむなど、鷗外の文章が魅力溢れるものになるのは当たり前な気がする。
「玉の井見物の記」「寺じまの記」など路地をウロウロ歩いて、二階家の女たちからチョイトチョイトと声をかけられお茶だけ飲んで帰るが、路地の別れ角に「ぬけられます」の灯りが見えるなど、寺じまとは我々にはおなじみ滝田ゆう「寺島町奇譚」の舞台である。「寺島町奇譚」と「濹東綺譚」についてはたぶん誰か書いていると思う(知らんけど)。
「書かでもの記」:歌舞伎座座付き作者目指して下働きにはげむ様子など意外な感がある。広津柳浪へ弟子入り志願の顛末。上田敏は若手である荷風への友情など、けして偉ぶらない実にいい人だ。
別に文庫巻末では谷崎潤一郎・正宗白鳥の自作への評価について、多大なる感謝を掲載。老いて孤独に暮らす荷風の晩年を迎える心情がありありとわかる。しかし正宗白鳥と同い年である。
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