漫画家まどの一哉ブログ
「旅に出る時ほほえみを」 ナターリヤ・ソコローワ
読書
「旅に出る時ほほえみを」
ナターリヤ・ソコローワ 作
(白水Uブックス)
体内に人工血液が流れる金属怪獣その名も「17P」。開発者を乗せて地底深く突き進み地下世界の組成・構造を明らかにする。しかし国家は文化・芸術を支配する俗悪なる独裁体制へと向かっていた。1965年発表のソビエトSF。
登場人物で固有名詞で語られるのは若き女性ルサールカのみであり、あとは「見習工」「総裁」「作家」などと呼ばれ、主人公に至っては「人間」である。
怪獣は言葉を話すように設計されている心やさしきいい奴である。この金属怪獣の仕組みについてはあまり細かいメカニズムには触れずに、ナンセンスな風合いを楽しみながら読める。独裁政権の成立により文化人や研究者が迫害されるディストピア小説ながら、とぼけた味わいがちょうど良くて楽しい。とは言ってもいたって悲しい話。
ソビエトでの作品なので労働運動を弾圧しようとする資本主義独裁国家の恐ろしさが風刺されているのだが、実際は当時のソビエト政権自体が悪しきそれだったわけで、この辺の文化政策的事情はよくわからない。俗流独裁政権がインテリゲンチャを嫌うのは昨今の本邦と同じ。
「旅に出る時ほほえみを」
ナターリヤ・ソコローワ 作
(白水Uブックス)
体内に人工血液が流れる金属怪獣その名も「17P」。開発者を乗せて地底深く突き進み地下世界の組成・構造を明らかにする。しかし国家は文化・芸術を支配する俗悪なる独裁体制へと向かっていた。1965年発表のソビエトSF。
登場人物で固有名詞で語られるのは若き女性ルサールカのみであり、あとは「見習工」「総裁」「作家」などと呼ばれ、主人公に至っては「人間」である。
怪獣は言葉を話すように設計されている心やさしきいい奴である。この金属怪獣の仕組みについてはあまり細かいメカニズムには触れずに、ナンセンスな風合いを楽しみながら読める。独裁政権の成立により文化人や研究者が迫害されるディストピア小説ながら、とぼけた味わいがちょうど良くて楽しい。とは言ってもいたって悲しい話。
ソビエトでの作品なので労働運動を弾圧しようとする資本主義独裁国家の恐ろしさが風刺されているのだが、実際は当時のソビエト政権自体が悪しきそれだったわけで、この辺の文化政策的事情はよくわからない。俗流独裁政権がインテリゲンチャを嫌うのは昨今の本邦と同じ。
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