漫画家まどの一哉ブログ
「辺境を歩いた人々」 宮本常一
読書
「辺境を歩いた人々」
宮本常一 著
菅江真澄、松浦武四郎など、江戸時代から明治にかけて、東北・北海道・樺太・千島列島・八丈島・沖縄・奄美・石垣島など未開の地域を精力的に探検した人々の物語。頻繁に出没するロシア船及び諸外国の圧力に危機感を感じ、国土防衛の意識から辺境を調査・記録しようとした人も多かったようだ。資本と手を組んだ藩や地方官僚による辺境への進出は、実際にはアイヌや沖縄県民など土地の人々への詐欺的支配であったのだが、ここに登場する探検家たちの意識は国防と地域住民への慈愛がイコールで結ばれていて、無私の人格者として描かれているのが特徴。
ずいぶん平易な読みやすい文章だなと思ったら、「こういう話は少年少女のみなさんにすべきことではないかもわかりません」とあり、なんだこれは子供たちのために書かれた本だったのか。それでも平易すぎて飽きてしまう文章ではなく、他の宮本作品と同じように興味深く読める。親本は1966年刊行だが、なんとなく子供たちに向けて、版図を広げてゆく近代日本の興隆を誇らしげに書いている印象はある。確かに自分の子供の頃の出版物を省みてもそういう雰囲気はあった。それでも基本的に宮本の視点は辺境に生きる漂白の民への親愛と平等観で貫かれているのは変わらないのが感じられた。
「辺境を歩いた人々」
宮本常一 著
菅江真澄、松浦武四郎など、江戸時代から明治にかけて、東北・北海道・樺太・千島列島・八丈島・沖縄・奄美・石垣島など未開の地域を精力的に探検した人々の物語。頻繁に出没するロシア船及び諸外国の圧力に危機感を感じ、国土防衛の意識から辺境を調査・記録しようとした人も多かったようだ。資本と手を組んだ藩や地方官僚による辺境への進出は、実際にはアイヌや沖縄県民など土地の人々への詐欺的支配であったのだが、ここに登場する探検家たちの意識は国防と地域住民への慈愛がイコールで結ばれていて、無私の人格者として描かれているのが特徴。
ずいぶん平易な読みやすい文章だなと思ったら、「こういう話は少年少女のみなさんにすべきことではないかもわかりません」とあり、なんだこれは子供たちのために書かれた本だったのか。それでも平易すぎて飽きてしまう文章ではなく、他の宮本作品と同じように興味深く読める。親本は1966年刊行だが、なんとなく子供たちに向けて、版図を広げてゆく近代日本の興隆を誇らしげに書いている印象はある。確かに自分の子供の頃の出版物を省みてもそういう雰囲気はあった。それでも基本的に宮本の視点は辺境に生きる漂白の民への親愛と平等観で貫かれているのは変わらないのが感じられた。
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