漫画家まどの一哉ブログ
「親衛隊士の日」 ウラジーミル・ソローキン
「親衛隊士の日」
ウラジーミル・ソローキン 作
(河出文庫)
2028年、皇帝の支配する帝国ロシアで自由気ままに活動する陛下直属親衛隊の精鋭たち。その強奪と暴力と薬物に明け暮れた日々を活写。空想的幻惑小説。
ソローキンは以前「青い脂」を途中まで読んで挫折した経験があり、今回はさほどの大長編ではないので挑戦してみた。
犬の首をぶら下げた車や銃を使わないナイフによる殺人などグロテスクなイメージ。しかし通信手段などは空中に画像が現れるなど今日的。
親衛隊の連中は皇帝陛下を守るという名目はあるものの、インテリも含めてゴロツキのような連中で残忍であり、女性には興味がないらしく性的なシーンは薬物を使用したあげくの男性同士のものである。
エンターテイメントとしてこれらの設定はあるだろうし凡庸さも感じないので、面白いかと言われれば退屈だった。社会構造や人間存在の本質に迫るような部分は無く平板なものだが、かと言って美的なものでもなく、男性性ばかりが前面に出て個人的にはつまらない。なんども投げ出そうと思ったところで、中国人の老占い師天眼女や豊満な肉体を持つ皇后などが登場してなんとか完読できた。
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