漫画家まどの一哉ブログ
「いい絵だな」 伊野孝行×南伸坊
「いい絵だな」
伊野孝行×南伸坊
(集英社)
現役イラストレーター2人による自由でとらわれない絵の見方。力の抜けたスタンスで面白さを再発見。
やっぱり絵を描く人の分析はおもしろいな。絵画評論というと小難しいものが多く、最近は楽しい絵の見方的な著作も増えているようだけど、ここまでフランクに解剖したものはなかったように思う。明け透けで遠慮がなく、描き手の都合や内心や好き嫌いまで及んで創作の謎を解き明かす。楽しい興奮がある。
どうしても自分との比較で語ることになるが、さすがにイラストレーターだけあって絵がめちゃくちゃ好きなんだなと思う。見ている絵の数と思い入れが違う。もしこれが伝統的な絵画界・美術界の人だったらここまで全ジャンル自由に語れないんんじゃないか。
1964年に始まった和田誠や宇野亜喜良らによるイラストレーションの革新や湯村輝彦などヘタウマ台頭などへの想いの強さを見ると、やはり成るべくしてイラストレーターに成った人だと感じた。自分も同時代を生きてきたが、さほどの関心はなかった。
マルケのゆるさの良さもわかるが、自分ではゆるい絵もしっかりした絵もどちらもOK。田中一村もOK。
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