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漫画家まどの一哉ブログ

   
「神保町「ガロ編集室」界隈」 高野慎三
読書
「神保町「ガロ編集室」界隈」
高野慎三 著
(ちくま文庫)

激動の60年代につげ義春・林静一・滝田ゆう等革新的漫画を次々と生み出した「月刊漫画ガロ」。編集部の5年間をふりかえった一冊。

この時代の情況の持つ大きさがいかに現代と違うかがわかろうというもの。70年安保反対・反ベトナム戦争・学園闘争など高度成長の歪みや矛盾を体感せざるをえない中で、若き「ガロ」の作家も当然この情況を共有していた。切迫した情況が革新的作品を生んだ。ということが、やはりあるのだろうか。
情況的には現代の若者の抱える社会的困難も、当時に比べてけっして小さなものではないはずだが、社会的共有感が違う。今の若者は社会的存在の意味を知らず、第一に自分個人の生き方の問題としてとらえる傾向を感じてしまう。

漫画のみならず映画や音楽において著者の興味や交友関係の広さ・多彩さに驚くが、逆に見ればごく趣味的な狭い範囲のつながりであったかもしれない。それは著者が「ガロ」を離れて北冬書房「夜行」を刊行して以降さらに色濃く、やはり「ガロ」時代とは違った才能が集まってきたように思う。

ここからは私事であるが、私が読者として「ガロ」と出会ったのは「カムイ伝」が終了する頃でありまだ著者が編集していた時代だ。そして私が投稿、及びデビューする頃には担当は南伸坊氏であった。その後なぜかほんの数回北冬書房の催しに参加したことがあり手元に写真が残っている。つげさんやシバさんをはじめ、清順監督や一衛先生が写っているものである。
「架空」創刊後はよく出向くようになった次第であります。

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