漫画家まどの一哉ブログ
「田紳有楽」
読書
「田紳有楽」 藤枝静男 作
かなり以前に読んで強い印象があったものを再読。
庭の池の底に潜む茶碗や丼鉢が自在に空を飛び、また地下水脈を移動する。はたまた人間へと化身して女を口説き落とす。ぐい呑は金魚と交合して子供を作る。ここまでやりたい放題の小説はちょっとないぞ。読み返してみたがやはりたいへん楽しい。中でも丼鉢が偽坊主とともにかつてチベット近辺を放浪し、日本のスパイにもらわれていく逸話が壮大で夢がある。
弥勒や妙見などの菩薩たちも登場して億万年の時の流れに思いを馳せ、明るい諸行無常・万物流転のようなことを語り合うが、本気でこの作品のテーマとして考えることもあるまい。これは創作上の洒落みたいなものだ。何せ百年二百年の時を超えて生きるやきもの(陶磁器)達の時間感覚だから。
「空気頭」のような奇書ではなく、安心して読める創作童話のような感触。
「田紳有楽」 藤枝静男 作
かなり以前に読んで強い印象があったものを再読。
庭の池の底に潜む茶碗や丼鉢が自在に空を飛び、また地下水脈を移動する。はたまた人間へと化身して女を口説き落とす。ぐい呑は金魚と交合して子供を作る。ここまでやりたい放題の小説はちょっとないぞ。読み返してみたがやはりたいへん楽しい。中でも丼鉢が偽坊主とともにかつてチベット近辺を放浪し、日本のスパイにもらわれていく逸話が壮大で夢がある。
弥勒や妙見などの菩薩たちも登場して億万年の時の流れに思いを馳せ、明るい諸行無常・万物流転のようなことを語り合うが、本気でこの作品のテーマとして考えることもあるまい。これは創作上の洒落みたいなものだ。何せ百年二百年の時を超えて生きるやきもの(陶磁器)達の時間感覚だから。
「空気頭」のような奇書ではなく、安心して読める創作童話のような感触。
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