漫画家まどの一哉ブログ
「牛乳屋テヴィエ」 ショレム・アレイヘム
読書
「牛乳屋テヴィエ」
「牛乳屋テヴィエ」
ショレム・アレイヘム 作
舞台や映画でおなじみ「屋根の上のバイオリン弾き」の原作であることを知らずに読みはじめた。主人公テヴィエは牛乳屋だが、牛乳配達だけしているわけではなく作り手なのである。生乳の他チーズもバターも生クリームも作る。お得意は街の金持ちだ。そして家には娘ばかり6人もいるのだ。
今や日本人にもおなじみのウクライナ。ソビエト政権成立のころウクライナに暮らすユダヤ人一家。イディッシュについてなんの知識も思い入れもないが、それを意識しなくても父親と娘たちの世代間の考え方の齟齬を描いて、世界中の人が見て読んで面白いものになっているわけです。屋根の上でバイオリンは弾かない。
親父さんからすれば自分が娘のためにいい縁談をまとめてきてやったと思っていても、娘と恋人は「ぼくたち結婚することにしました」ってそりゃいったいどういうことだ?といった具合。これが全編主人公テヴィエの語りで書かれており、それがまったく田舎の農家の親父さんの口調なので面白い。とはいっても自分の趣味とはちょっと違う作品。
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