漫画家まどの一哉ブログ
「爆弾魔」 スティーヴンソン
読書
「爆弾魔」スティーヴンソン
(国書刊行会)
上流階級ながらいささか困窮ぎみの3青年。それぞれ思い切って現実社会での冒険へと飛び込むが、爆弾騒ぎに巻き込まれる中で、気丈で破天荒な経験を持つ女性ばかりと出会う。
巻末解説にもあるとおり、スティーヴンソンとその妻ファニーとの合作のせいか、波乱万丈の冒険体験は女性ばかり。世慣れぬ凡庸な青年男子はいいように翻弄されるという筋立て。
この女性達の体験が開拓時代のアメリカ荒野、キューバの奴隷社会など、日常を離れた世界で繰り広げられ、その展開の自由自在さが心地よく、さすがにスティーヴンソン。読んでいて脳が解放されるばかりだ。
登場する女性がパターン的な添え物でなく、個性的で行動的で主役であるのも古典としては珍しく、家庭内で収束する良妻賢母的な女性の生き方とは正反対。この女性像も実はファニー・スティーヴンソンの社会に対する内心の不満の表れかもしれませんね。
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