漫画家まどの一哉ブログ
「桶物語・書物戦争」 スウィフト
読書
「桶物語・書物戦争」 スウィフト 作
父親から遺言とともに上着を譲り受けた三兄弟。遺言書に曰くこの上着は長く大切に守り、いささかなりとも手を加えることがあってはならない。当初厳格に父親の言いつけを守り、かの上着を着込んで社会に勇躍しようとしていた兄弟たちであるが、めまぐるしく変わる世の流行を無視していては、とても社交界に分け入って行くことはできず、なんのかんのと理由をつけてモールや襟章など次々と手を加え、上着はあらぬ姿となってしまった。
やがて長男は出世、頭角を現し人々の長となってありえないルールを強要。次男は頑なに本来の父親の言いつけを守ることに帰り、三男は新しい教えの実行者となってナンセンスな修行に励む。
これらはすべて当時18世紀初頭の英国宗教に対する風刺であり、上着こそは新約聖書そのもの。長男はローマ旧教、次男はイギリス国教、三男は清教徒の役割である。本文を読んだだけでは現代の我々にはそんなことはわからないし、解説されたところでなるほどと膝を打って快哉を叫ぶわけでもないが、文章自体がこれでもかというほどの愉快な嫌味の連続で面白くて仕方がない。今日いうところの小説とはだいぶ趣が違うが、スウィフトという人が天性の風刺家であるばかりでなく発想豊かな人であることがわかる。
「桶物語・書物戦争」 スウィフト 作
父親から遺言とともに上着を譲り受けた三兄弟。遺言書に曰くこの上着は長く大切に守り、いささかなりとも手を加えることがあってはならない。当初厳格に父親の言いつけを守り、かの上着を着込んで社会に勇躍しようとしていた兄弟たちであるが、めまぐるしく変わる世の流行を無視していては、とても社交界に分け入って行くことはできず、なんのかんのと理由をつけてモールや襟章など次々と手を加え、上着はあらぬ姿となってしまった。
やがて長男は出世、頭角を現し人々の長となってありえないルールを強要。次男は頑なに本来の父親の言いつけを守ることに帰り、三男は新しい教えの実行者となってナンセンスな修行に励む。
これらはすべて当時18世紀初頭の英国宗教に対する風刺であり、上着こそは新約聖書そのもの。長男はローマ旧教、次男はイギリス国教、三男は清教徒の役割である。本文を読んだだけでは現代の我々にはそんなことはわからないし、解説されたところでなるほどと膝を打って快哉を叫ぶわけでもないが、文章自体がこれでもかというほどの愉快な嫌味の連続で面白くて仕方がない。今日いうところの小説とはだいぶ趣が違うが、スウィフトという人が天性の風刺家であるばかりでなく発想豊かな人であることがわかる。
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