漫画家まどの一哉ブログ
「日本の悪霊」 高橋和巳
読書
「日本の悪霊」 高橋和巳 作
60年代、過激派として略取殺人事件を引き起こし逃亡中の男。そして特攻隊の生き残りである独身の刑事。この二人を主人公に話は本格的な刑事ドラマのように展開する。
エンターテイメントではないが、新聞が読めれば誰でも読めるわかりやすい書き方で書かれている社会派小説。実際ドラマとしてよくできていて、じっくりと話を追って行ける。ところどころやや冗長だが、そこが人間社会に対する問題意識なのだから仕方がない。
暗く虚無的だが社会に対する大きな屈折を抱いて生きている二人の設定は、通俗小説としても魅力たっぷりだが、この二人が社会に翻弄されて疑義を投げつけるありさまは、通俗を超えて確かなテーマを浮かび上がらせる。ラストへ近づくにつれ、絶対的なものであるはずの善悪でさえも、上位の者の都合によって簡単に曲げられてしまう真実が明らかになり、ああ彼らの虚無はここにあったのかと思い知る。
文庫新刊では小林坩堝の解説が出色の出来だ。
「日本の悪霊」 高橋和巳 作
60年代、過激派として略取殺人事件を引き起こし逃亡中の男。そして特攻隊の生き残りである独身の刑事。この二人を主人公に話は本格的な刑事ドラマのように展開する。
エンターテイメントではないが、新聞が読めれば誰でも読めるわかりやすい書き方で書かれている社会派小説。実際ドラマとしてよくできていて、じっくりと話を追って行ける。ところどころやや冗長だが、そこが人間社会に対する問題意識なのだから仕方がない。
暗く虚無的だが社会に対する大きな屈折を抱いて生きている二人の設定は、通俗小説としても魅力たっぷりだが、この二人が社会に翻弄されて疑義を投げつけるありさまは、通俗を超えて確かなテーマを浮かび上がらせる。ラストへ近づくにつれ、絶対的なものであるはずの善悪でさえも、上位の者の都合によって簡単に曲げられてしまう真実が明らかになり、ああ彼らの虚無はここにあったのかと思い知る。
文庫新刊では小林坩堝の解説が出色の出来だ。
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