漫画家まどの一哉ブログ
「日常的隣人」 吉田知子選集Ⅱ
読書
「日常的隣人」吉田知子選集Ⅱ
「日常的母娘」「日常的夫婦」「日常的親友」など「日常的~」というタイトルでさまざまな人間関係を描いた短編連作集。
自分の中では、吉田知子は土着的なシュルレアリスムの作家という認識なのだが、そんな幻想性を離れてこれだけ現実世界をアイロニカルに書ける作家だとは思わなかった。世俗に強いところがあるからこそ「お供え」のように現実を揺さぶる不思議な話が書けるのかもしれない。もちろんこの連作の現実世界だってどこか奇妙なことはこっそり忍び込まれていて、突然日本語がヘネヘネ語に変わってしまったり、病気になりたがる人だらけで500メートルごとに救急病院があったりする。夫婦・母娘・親戚など世の中のめんどくさい人間関係を嫌味たっぷりに弄んでくれて痛快な猛毒小説といった印象。
これらは野生時代に連作されていたもので通俗的な読み物なのかもしれないが、充分味わいがあるし、巻末の純文学「人蕈」との違いはそんなには感じなかった。
「日常的隣人」吉田知子選集Ⅱ
「日常的母娘」「日常的夫婦」「日常的親友」など「日常的~」というタイトルでさまざまな人間関係を描いた短編連作集。
自分の中では、吉田知子は土着的なシュルレアリスムの作家という認識なのだが、そんな幻想性を離れてこれだけ現実世界をアイロニカルに書ける作家だとは思わなかった。世俗に強いところがあるからこそ「お供え」のように現実を揺さぶる不思議な話が書けるのかもしれない。もちろんこの連作の現実世界だってどこか奇妙なことはこっそり忍び込まれていて、突然日本語がヘネヘネ語に変わってしまったり、病気になりたがる人だらけで500メートルごとに救急病院があったりする。夫婦・母娘・親戚など世の中のめんどくさい人間関係を嫌味たっぷりに弄んでくれて痛快な猛毒小説といった印象。
これらは野生時代に連作されていたもので通俗的な読み物なのかもしれないが、充分味わいがあるし、巻末の純文学「人蕈」との違いはそんなには感じなかった。
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