漫画家まどの一哉ブログ
「犬」 中勘助
読書
「犬」中勘助 作
「銀の匙」からは想像もできないグロテスクな幻想譚。修行僧は山にこもって苦行に挑んでいるが、全身毒虫や蚊に食われて始終ボリボリとかいている汚らしいイメージである。それもそのはずこの男は厳しい修行の果てにおのれの肉欲に負けてしまって、少女をむりやり自分の妻として軟禁してしまうのである。しかも二人は法力によって犬の姿に変身しているのだ。
かわいそうな村の少女だが、村に攻め込んできた回教徒軍団の若い兵士にうっかり子供を孕まされられても、その精悍な青年に惚れてしまうという屈辱的なやくどころ。
「犬」中勘助 作
「銀の匙」からは想像もできないグロテスクな幻想譚。修行僧は山にこもって苦行に挑んでいるが、全身毒虫や蚊に食われて始終ボリボリとかいている汚らしいイメージである。それもそのはずこの男は厳しい修行の果てにおのれの肉欲に負けてしまって、少女をむりやり自分の妻として軟禁してしまうのである。しかも二人は法力によって犬の姿に変身しているのだ。
かわいそうな村の少女だが、村に攻め込んできた回教徒軍団の若い兵士にうっかり子供を孕まされられても、その精悍な青年に惚れてしまうという屈辱的なやくどころ。
この修行僧が己の性欲のため娘を強奪してまるで省みることなく、ただただ利己的な詭弁や言い訳と暴力に終始するだけで、ほんとうに不愉快な男だ。少女も脱走を試みるも失敗し、修行僧との間に生まれてしまった子供にはどうしても母性が働いてしまう。
というわけで内容的には人間社会にざらにある監禁事件で、犬の姿でなければルポ小説のようなものだ。中勘助は幻想文学の形を借りて犯罪小説が書きたかったのかな?ゾンビも出てくるよ。
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