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「幻想小説とは何か」 三島由紀夫怪異小品集
読書
「幻想小説とは何か」三島由紀夫怪異小品
(平凡社ライブラリー)

東雅夫編集の文豪怪異小品シリーズ。評論・手紙をメインに掌編小説まで。三島にとっての幻想文学を追ってゆく。

巻末の論考「小説とは何か」を中心に、百間・牧野信一・足穂の解説など、一度は目にしたことのあるおなじみの見解だが読むのは楽しい。それより僅か数編ではあるが巻頭の小品小説が抜群におもしろく、これだけでもこの本は買って良かった気がする。(ただし私の中では三島・川端・谷崎は日本三大気色悪い作家である)

対談・書評の章では澁澤龍彦との交流と、その偏愛が手紙のやり取りを中心に掲載されているが、まさに澁澤絶賛である。たしかに澁澤は貴重な存在ではあるが、幻想文学趣味と言っても人それぞれ。個人的にはさほど耽美である必要はなく、ましてや「血と薔薇」的なものになると痛々しくてやや苦手だ。サドよりもホフマンやポーに親しみを感じる。

「小説とは何か」にも語られるとおり、やはり小説というのは言葉の芸術で、画像がなく全ては言葉で成り立っているというのは恐ろしいことだ。
三島のいう小説の定義とは(一)言語表現による最終完結性を持ち、(ニ)その作品内部のすべての事象はいかほどファクトと似ていても、ファクトと異なる次元に属するものである。
これこれ!読者を「別次元へ案内する努力」!小説は現実や内心を離れて初めて芸術として生まれるもので、優れた作品や作家はむやみに尊敬してしまう。

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