漫画家まどの一哉ブログ
「大いなる遺産」下 ディケンズ
「大いなる遺産」下
ディケンズ 作
(河出文庫・佐々木徹 訳)
遺産を引き継ぎジェントルマンとして悠々暮らすピップ。だがその遺産はとんでもない曰く付きのものだった。風雲急を告げる人生。その結末は?
奇抜な設定と周到なドラマ展開にしてやられた。ディケンズの罠に引っかかった。少年ピップはだんだん大人への階段を登るわけだが、登場する大人が特殊すぎてまったく安心できない。破壊された結婚式以降男性への復讐に燃える老女。そのために利用された若き養女。できるなら関わりたくなかった囚人も再登場してピップの人生は撹乱される。
しかしストーリーが終盤へ近づくにつれ、「実は父親だった」「実は娘だった」などの肉親関係が明らかになってゆくところは、エンターテイメントの基本形に忠実だ。だからといって誰も幸せにならない。平凡な小物に混じって、詐欺師や人殺しなどのほんとうの悪人もいれば裏表のないいいやつもいる。さすがディケンズの実力なのか、物語が大きく膨らんで名作となった。
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