漫画家まどの一哉ブログ
「呪いと日本人」 小松和彦
読書
「呪いと日本人」 小松和彦 著
「呪いと日本人」 小松和彦 著
近世以前の支配者は政体のみならず天変地異などの自然現象、農作物の出来不出来にまで責任を負っていたからたいへんだ。災害の原因も怨霊の呪いであることが充分考えられる以上、悪霊調伏のため陰陽師や修験者を用いての祓い清めの儀式も盛大に執り行われる。その際排斥されるべき「ケガレ」の役目を引き受けるのが、ふだんから汚れ仕事を受け持っている非差別民だった。学生の頃から天皇制は被差別部落の存在によって構造的に支えられている云々はよく聞かされていたけど、
この呪いと「ケガレ」の役割を知っておくべきだった。
このように政治的な方法としての呪いの意味はあったとして、それとは別に個人対個人の恨みによる呪いは永遠に不滅で、現在も藁人形に五寸釘は廃れない。人は何故か人智ではかりしれない非合理なことに運命を預けるのが好きだから、直接報復する手段がない場合、呪いも偶然効果を発揮するかもしれないものね。もうこれしかない。
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