漫画家まどの一哉ブログ
「人間不平等起原論」ルソー
読書
「人間不平等起原論」 ルソー 著
「人間不平等起原論」 ルソー 著
さあ今から18世紀の社会思想史を研究するぞというわけでもないし、この世界の名著にコメントできる能力もないわけだが、ルソーやヴォルテールなどこの時代の尖った人達の雰囲気を楽しみたい気持ちがあって、昔買った本を読んでみた次第。
やはりその頃未開の民族が続々と発見され報告されていたのか、そして彼らの生活が昔から変わることなく、不平等が膨らまないままに幸福に営まれていること。この事実がルソーをして、ヨーロッパの現代文明を必然的な進化と考えさせなかった。これは戦争中水木しげるが体験した南の島での現地人との楽園生活とも通じると思う。平和で競争がなく平等で変わらない村の暮らし。
ルソー曰く鉄と小麦に恵まれていたヨーロッパにおいて、他に先んじて文明が発達するのはやむを得なかったとしても、はたしてこの進歩は人間を幸福にしているのか?これは水木さんも再三マンガに描いているテーマだ。
その結論はさておくとしても、ここに敵対するはライプニッツに代表されるキリスト教的オプティミズムであり、我々のどんな社会も結局は神が望んだことであり、結果的には全てが善であるのだ云々。だいたいルソーは被害妄想の人でペシミスティックなおもしろさがあるから、これらの意見とは相容れないでしょう。とは言ってもライプニッツだって愉快な奴かもしれないし、どのみち自分は研究なんて出来る性格ではないから、このあたりはせいぜい道楽気分で楽しみたいものだ。
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