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「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」 カール・マルクス

「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」
カール・マルクス 著
(講談社学術文庫・丘沢静也 訳)

凡庸でグロテスクな人物、ルイ・ボナパルトが皇帝にたどりつくまでを時代背景の経緯とともに綴った辛口ドキュメント。

2月革命以降のフランスの王朝派・共和派・社会主義派など議会各派をよく知っていれば、なんら戸惑うことなく読めただろうが、知識のないわたしにはかなりややこしい。それでもマルクスの筆致がエネルギッシュで快感があり読んでみたくなるのだ。憲法制定からボナパルトのクーデターまで、全ての政党各派が敗北してゆく。

金融ブルジョワジーも中産階級も小市民も支配層となれない。そんな中でボナパルトの支持母体が奴隷・詐欺師・人足・乞食などのルンペン・プロレタリアートなのが意外だ。
「ナポレオンを名乗る男が全ての栄光を取り戻してくれる」という農民の軌跡信仰によりボナパルトは皇帝となったが、かつての封建農民は今や分割地農民となり没落の一途をたどっていた。

ボナパルトの栄光と破綻をただ彼の凡庸な人格のみに帰するユゴーのような視点を否定し、階級闘争の過程で生まれてきた事情や環境を描くことがマルクスの意図だ。
訳者解説によるとボナパルトはそう凡庸な人間ではなく、権力闘争の椅子取りゲームに勝利し、民衆の幸福と貧困の根絶を目指して政策を展開したが、歴史はそれを許さなかったようだ。

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