漫画家まどの一哉ブログ
「サラゴサ手稿」中 ヤン・ポトツキ
「サラゴサ手稿」中
ヤン・ポトツキ 作
(岩波文庫・畑 浩一郎 訳)
ジプシーの族長アバドロが語る波乱万丈の体験記。聞き書きの物語も交えて一癖も二癖もある人物が次々と登場。
上巻でわたしを引きつけた断頭台の下で見た夢や、霊体姉妹の話はどこへやら。貴族の出身ながら乞食グループに入って様々な体験を重ねるジプシーの族長アバドロが語り手。話が話をよんでバトンタッチされていくので、そのたびに主役も変わり複雑この上ないが面白いことは面白い。
なかでもロケ・ブスケロスなる人物は類まれなるキャラクターで、希代のお節介と言おうか世話焼きと言おうか、人の人生にズカズカ踏み込んでその行く末を強引に操ってしまう。こんな脇役初めて見た。わたしが間違って期待した怪奇幻想シーンもときどきはある。しかしこの作品の最高潮となる全てが絡み合った止まらない傑作は、このあとに続く下巻であるらしいのでおおいに期待しよう。
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